台風9号 水害の犠牲になった多摩川の猫たち



多摩川の河川敷にはたくさんの猫が暮らしています。
その多くが心無い人間によって川原に棄てられた子たち
です。住宅地と違って人目につかない川原は、格好の
捨て場になっています。車でやってきて、エサがもらえる
ようにとわざとホームレスさんの小屋の近くに飼いきれなく
なった猫を棄てていく人が後を絶たないそうです。

多摩川流域に暮らすホームレスさんは約千人。その多くが
こうして棄てられた猫をかわいそうに思って保護したり、
孤独な生活の寂しさをまぎらわすためによそから拾ってきた
猫と一緒に暮らしています。たとえ自分が満足な食事ができ
なくても、アルミ缶を拾って稼いだわずかなお金で猫には
おいしいごはんを食べさせ、かわいがっているホームレスさん
も多いそうです。


首都圏を直撃した台風9号。多摩川が増水し、流されたホーム
レスさんと猫たちがヘリコプターでレスキュー隊に救助される
場面がテレビで報じられていました。50人以上のホームレス
さんが流されたと聞き、いったい河川敷で暮らす大勢の猫たちは
豪雨で増水した多摩川が氾濫しかけ、どうなってしまったのだろう
かと気になった方も多いと思います。


我が家のさっちゃん、ミウちんは元々は多摩川の土手出身と聞い
ていますし、今年里子に出た子猫たちの中にも、河川敷に棄てられ
チョビくんやホームレスさんに拾われた茶つぅ姉妹など、多摩川の
土手出身猫は多く、私も猫たちは逃げ切れたのだろうか、
と大変気になっていました。

マスコミが取り上げたのは、視聴者が喜ぶような救出の劇的
瞬間ですが、レスキュー隊に保護されたのはたまたま運が
よかったほんの一握りの猫にすぎません。その他大多数の
猫たちは濁流に呑み込まれてしまったのではないかと思うと
暗澹たる気分になりました。

多摩川の土手の猫たちが一体どうなっているのか、情報を
集めようとしましたが、なかなか実情がわからず歯がゆい状態
でした。自分で現場を見に行こうかとも思いましたが、普段ほとん
ど行ったことのない私のような人間が、具体的にこれといって
手伝えることもない状況で、混乱した被災地をただ見学に行く
のは、被災した方々に大変失礼なことのように思え、憚られま
した。


そんな中、昨日、多摩川の土手の猫たちがこれ以上増えない
ようにホームレスさんと連携して、避妊手術を進め、病気やケ
ガの猫の治療をし、子猫を保護する活動を地道に続けられて
いる猫仲間ののらみいさんが、今回の台風9号による多摩川の
猫たちの被害の実情を伝えて下さいました。

より多くの方に実情を知っていただきたいと、ご本人の許可を
得て、ここにのらみいさんの日記を転載させていただきます。



9/7から、台風9号が関東を直撃。
立てこんだ用事を済ませ、いつもより遅い夕方
河川敷へ行く。川は既に満水状態で濁流になっていた。
橋の下の子達に給仕し、仮設給餌小屋へ行くと
国土交通省からの撤退勧告のチラシが入っていた。
つい先日、国土交通省のパトロールの人と話をした。
橋の補強工事は、そろそろ第二期部分が始まろうと
しており、猫達の状況を説明したばかりだった。

気になって、翌朝土手に走る。
既に、人の肩以上の水位の濁流が猛威を振るっており
取り残されたホームレスさんの救助が、ヘリコプターで
始められていた。深夜の豪雨で、決壊の危険から上流の
ダムからの放流。水門が開いたのが、前夜の午後11時。
告知のアナウンスはあったものの、下流に到達するのは
その数時間後の明け方近くだったらしい。

二年前も同じ事があった。
その時の水位は、膝上程度で時間も昼近く
消防車が連絡の為、河川敷を走って注意を促していた。
これだけ取り残されたのは、皆油断していたに違いない。

堤防脇で、知り合いのホームレスさん達数人に会った。
一緒に橋の下の子達の世話をしている元絵描きのおじさんも
いて、慣れている猫を堤防側に連れて来ては見たが
猫の縄張りがあるのか、嫌がって元の場所に戻ってしまう。
そう言って、顔を曇らせた。この濁流を目の前にして
大丈夫だよとは、さすがに言えなかった。

午後、光一くんのお届けがあり、こちらは特に問題なく
あとは、先住猫のノエルくんとの相性次第となった。
ずっと一人っ子で4年を過ごした黒白のお兄ちゃんは
光一くん改めルーチェくん(イタリア語で光という意味)の
クルルクルル遊ぼう攻撃にも、シャーと威嚇するばかり。
光ちゃんは、しつこくしないので大丈夫だと思う。
帰りに、先週保護し、病院へ預けていたチビ2匹の面会。
まだ全然なれていない・・・ワクチンと検査をして
ビビラーな二人は、ひろぞうさんに一時預かりを
お願いした。

夜、犬の散歩で土手の様子を見たら水は引けていた。
いてもたってもいられず、長靴をはいて土手へ。
サイクリングコースを辿って何とか餌場へ行けたが
泥沼化した地面に足を取られ、上手く進めない。
懐中電灯で、皆を探したが無情にも応答はなし。
小屋へ行くのは、到底無理なので橋の下に水とドライを
置き、河川敷まで行って見る。
流れ着いたゴミや草木を避けながら、行ける所まで行く。
足元で、川から上がった魚がピシャリと跳ねた。
Hさんの小屋の前で猫の影を見つけた。生きている!
坂を上がって見ると、ドライフードが皿に置いてあった。
2匹の生存を確認したので、餌と水を補充した。

翌日、地面が少しマシになったので、再度捜索。
橋の下には、やはり誰もおらず餌も残っていた。
仮設小屋は流されずにいたが、傾き無残な姿になっていた。
平らになった屋根の上に、唯一、隣のTさん所の老三毛
みたんが居た。餌は置いてあったが補充して、少し片付けて
いると、みたんは異常に甘えてきた。怖かったんだろう。
小屋を建ててくれたSさんとFさんの所へ行くと、掃除の
最中だった。ここのミーとチビ太、隣のバリちゃんは無事。
Fさんは、ヘリで救助される前に猫達を屋根の上に乗せて
くれたので助かった。猫のフードを補充し、おにぎりと
お茶を差し入れした。河川敷の方も酷かった。
茶つぅーを保護したKさんの小屋は、跡形もなく
本人は何処かの施設に入れられたと聞いた。
Iさんの所は、皆無事だった。3匹の猫は柳の木に自力で
よじ登り、犬とおじさんは救助されたが、動物連れだと
一時開放された管理事務所にも入れないらしく、保護場所を
たらい回しにされた上、元の場所へ。ここは、犬猫人共に
救援物資が潤っていたが、憔悴しきっていた。
Hさんも無事で、すでに、床板を張り替え始めていた。
猫4匹も小屋の屋根や木の上で難を逃れたそうだ。
池までは、まだ行く事が出来なかった。
ウサギやニワトリは小屋ごと流され全滅した。

ポー一族のポーママ、ピン、ヨリ。
おじさんの猫、チロ、ミー、チー。
カイくん、ももてん、新入りの田吾作。
Tさんのクロミ、タビ、オコ、ボローニャ。
行方不明。下流へ探しに行こうか。

一年前、お前達を守ると約束した。
なのに、何も出来なかった。
絶望と後悔。自責の念で情緒不安定になる。
どうか、みんな生きていてくれ!




昨夜遅くに3匹の生存確認と3匹の目撃情報があったそうです。
行方不明の他の猫たちも、どこかで生き延びていてくれ、と
願わずにはいられません。



また、さらに下流の河川敷近くで50匹近い路上猫の世話を
されているチョビくんの保護主さんからも、多摩川の猫たちの
状況を教えていただきました。



多摩川で猫小屋に30匹程面倒を見ている方は台風の後、
猫がどうなっているか怖くて見に行けないと言っていました。

でも今日なんとか辿り着いて猫の無事を確認できたそうです。
小屋から外に出られないので猫達は一番高い棚の上に避難
していたようです。あと30センチ高く水が出ていたらそこは
地獄絵図だったと。
想像するだけでも恐ろしい状態だったでしょう。
小屋やそばにあるホームレスのおじさんの家はペドロで酷い
状態で元に戻るにはかなり時間がかかるそうです。




水が押し寄せてくるなか、小屋から逃げられず、天井近くにしが
みついているしかなかった猫たち、どんなに恐怖だったこと
でしょう。元々、虐待が起きた現場から保護された猫たちだ
そうです。

水害の犠牲になった方々、大勢の生き物の冥福をお祈りします。

川に流された猫、命からがら生き残ったものの棲み家を
失った猫、飼い主さんとはぐれた猫、かわいそうで心が痛みます。

現場を知る猫仲間に相談し、被災した猫たちのために自分に何か
できることはないか考えています。




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by akaneiona | 2007-09-11 08:25 | お外の猫
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