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野良猫の末路





昨夜遅く、3年前にあかねといおなを保護した場所の近所の
方から電話があった。外階段の下に猫が倒れているのだが
どうしたらよいだろうか、と。大雨の中、チャリで駆けつけて
みると、3年前に避妊手術した三毛猫だった。ガリガリにやせ
衰え、薄汚れた無残な変わり果てた姿。弱りきって動けなく
なっていた。


3年前にこの付近一帯で十数匹の猫を避妊手術した。昨夏も
また新顔が流れてきているとのエサやりさんの情報に、新たに
数匹を手術した。その時はこの三毛猫はまだ元気に暮らして
いた。今回、電話をくれたのは、去年の捕獲作業の時に知り
合った坂の上の猫好きマダムのお嬢さんからだった。


お嬢さんがアレルギーなので猫を保護はできないが、マダムも
お嬢さんも猫好きで、具合の悪そうな猫に獣医からもらってきた
薬入りのご飯を与えたり、近所のエサやりさんがその方の敷地
内で野良猫数匹にエサをやるのを容認してくれていた。


この三毛猫もしばらく前から具合が悪そうだったので、時おり
エサを与えていたが、ほとんど食べようとしなかったという。


かなり弱っているので助からないかもしれないが、うちへ連れ
帰ってできるだけのことはしましょう。明朝まで生きていれば、
病院へ連れて行って、場合によっては入院治療してもらい、
その後はうちで余生を面倒みましょう、ということになった。
入院となると一週間で数万円かかるかもしれないと言うと、その
費用もできるだけ負担します、と言って下さった。


タオルで濡れた毛を拭いてやり、抱いてキャリーに移そうとす
ると、骨がゴツゴツあたり、紙のように軽かった。




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この時点ではまだ生きていた




帰宅して明るい所であらためて三毛猫を見ると、もう虫の息で
舌も紫色で巻いてしまっていて、ああこれはもう助からないな、
と直感した。それでも明朝までがんばれれば、何とかなるかも
しれないとひどい脱水症状を緩和するために輸液をしてやった。
ノミがびっしりついていたが、体温が下がらないようフロントラ
インも少量にしておいた。時々苦しそうに喘ぎ、徐々に呼吸が
弱くなっていく。意識もほとんど残っていない。


「今まで苦しかったね、つらかったね。もうがんばらなくていい
よ」と言いながら身体をそっとさすってやるしかできなかった。



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生きるも地獄、死ぬも地獄-悲惨な野良猫の末路





2時間後、永眠。「楽になれてよかったね」と思わずつぶやい
た。野良猫の過酷な生活からやっと解放されたんだもの、
夏目漱石ではないけれど、死はめでたい、と思った。


私は日頃、あの世や来世や天国などの仮構を必要としない人間
だが、この三毛猫のように、この世の辛酸を嘗め尽くして、哀れ
にも野垂れ死んでいく野良猫のためだけには、天国が存在して
ほしい、せめて死んだ後は楽してほしい、と願わずにはいられ
なかった。


何の慰めにもならないかもしれないけれど、身体を拭いて
百合の花で飾ってやり、火葬業者に引き取りに来てもらうまでの
十数時間、ずっと線香を焚いて、掌を合わせ続けた。


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今晩、三毛猫にエサをやっていた人が心配しているだろうと連絡
すると、7月から急に具合が悪くなったのだという。薬を入手して
エサに混ぜて与えてもいたが、ほとんどエサを食べなくなってし
まい、なす術がなかったという。

7月時点で保護して通院させていれば、あるいは助けられたの
かもしれないが、今更タラレバ論を言っても仕方がない。


猫仲間数人も、それぞれの捕獲現場で知り合ったエサやりさ
んから、具合が悪くて死にそうな猫の相談を受けているという。
やはりこの夏の異常な猛暑が野良猫に与えた打撃は大きかった
のだろう。人知れずかなりたくさんの野良猫が犠牲になった
のではないかと思う。哀れな野良猫。


私が野良猫の避妊手術や保護をするのは、こういう悲惨な猫を
見たくないからです。




by akaneiona | 2007-09-06 22:49 | お外の猫
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